間づくりの考え方は美への追求
2023年12月15日、第5回「間づくり研究会」がオンラインで開催されました。今回は今年を締めくくる研究会としてウェルビーング研究を行っている石川善樹氏より「ウェルビーングにとって美とは何か?」というタイトルで基調講演を行っていただきました。
最初には間づくり研究所所長の塚本直之が挨拶を行い、今年4月に始まった間づくり研究所の背景と、研究会が持つ意義について話してくれました。物質的な豊かさにもかかわらず、多くの日本人が幸福を感じていない現状があり、この問題の解決には「間づくり」が鍵であると強調しました。
そして、間づくりの重要性について説明し、それが単なる空間の分断ではなく、調和と美の創造であることを伝えてくれています。「間(ま)」が物質的な要素と精神的な要素の間の関係性を表し、その関係性を調和されることが「間づくり」の本質であると述べました。この考え方は、美への追求とも関連していることを、講演の導入としてお話いただきました。
石川善樹氏講演 Well-beingにとって美とは何か?
世の中的なWell-beingのとらえ方
まずはウェルビーングが現代社会でどのように理解され、受け入れられているかについて、日本におけるウェルビーングの位置付けや、国民の幸せや生活の満足度がどのようにこれに関連しているかを、お話してくれています。
そしてウェルビーングの背後にある構造についてもお話していただき、個人の選択肢や自己決定が重要な要因であることをご説明いただきました。また、日本社会における未来への希望の不足について考えを深め、多くの「居場所」が人々のウェルビーイングにどのように貢献するかを説明しました。石川氏は、自己決定を促し、社会的寛容性を高めることの重要さを伝え、居場所の多様性がいかに人々の生活を豊かにするかをお話してくれました。
Well-beingと美」について個人見解
つづいて石川氏はウェルビーングを「美い間(よいま)」として捉えることもできるのではないかと述べ、その背後にある日本人の美意識に焦点を当てました。間づくり研究所が捉えている間づくりモデルである「時間・空間・手間」について、日本の美しい時間と空間、手間に対する古典的な見方と、現代社会におけるウェルビーングの理解を結びつけました。
日本の伝統的な文化要素、特に和歌を通じて、日本人の美意識がどのように形成されてきたかを探り、自然界との調和、季節の変化に対する感受性、そして、歌を通じた感情表現が、日本人のウェルビーングと美への感覚に深く根差していると論じました。
このユニークな視点は、ウェルビーングと美の関係を理解する新しい視点として、日本文化や間づくりへの深い理解となるきっかけになりました。
参加者からの質問セッション
石川氏の講演を聞いて、参加者からの質問セッションの時間では、具体でユニークなアイデアやアドバイスが生まれてくる時間になりました。
今回の報告では、生理用品の無償設置やサニタリーボックスの設置により、生理現象にまつわるストレスを軽減する重要な一歩となりました。今後も社員一人ひとりが快適に働ける職場環境を目指します。
コマニー社長 塚本健太とのセッション
石川氏とコマニー社長の塚本健太のセッションでは、基調講演を受けて、二人は日本文化における和歌のリズムの重要性とその現代への応用について話し合いました。特に注目されたのは、七五調のリズムが組織の中での「VISION」や「MISSION」の伝達に役立つという考えです。これは、日本人特有の感覚を反映し、職場や日常生活において新たなコミュニケーションとしてのアイデアとして話が盛り上がりました。
また、二人はウェルビーングと空間、時間の感じ方の関係にも触れ、いかに環境が人々の感情に影響を与えるかを論じました。塚本社長は、時間を「ねじる」ことで人々が幸せを感じることができるかもしれないという視点を伝えてくれています。
最後に
第5回間づくり研究会を通じて、ウェルビーングと美に対する新たな理解を深めることができました。参加者からは、「日常では気づかない美と間の関係に目を向けることができた」という感想が多く聞かれています。日本独自の感性と文化が、現代のビジネスや日常生活にどのように応用できるか、その可能性を探る貴重な時間となりました。和歌や俳句など、伝統的な文化が現代の間づくりにどう影響するか、という点が新鮮であり、参加者一人ひとりが自分の「美」と「間」を再考するきっかけを得た研究会となりました。この講演は、ただの学びの場を超え、私たちの日常に新たな視点をもたらすものでした。