間づくり研究所

2026.02.17

間づくり研究会レポート~「壁を壊す」物流オフィスの間づくり~

2025年10月1日に間づくり研究会「物流オフィスの間づくり」を開催し、2025年7月に実施された物流オフィスのリニューアル成果について発表しました。今回の研究会では、プロジェクトリーダーの東出が登壇し、課題の観察から設計・デザイン・施工までのプロセスと具体的な取り組み、そこから得られた成果、そして今後の展望をお話しました。

プロジェクトメンバー 

今回のプロジェクトは、コマニー物流部のメンバーを中心に、パートナーである上田運輸㈱様、アサガミ㈱様とも協力し、企画・設計・デザイン・施工全てを自社で行いました。異なる立場のメンバーが一体となり、従来のオフィス環境課題の解決と快適な職場づくりを目指しました。

従来の物流オフィスの課題 

以前のオフィスは、社内で築年数が最も古く、老朽化による錆や腐食が進み、暑さ寒さ、騒音、耐震性不足、床の傾き、など劣悪な環境でした。また、物流部内の2つの課が1階と2階に分かれていました。

  • 打ち合わせや来客対応に適したスペースがなく、移動に手間がかかりました。
  • 2つの課が上下に分かれていることや、運送業者様に対する挨拶が少ないなど、情報共有や連携、コミュニケーションが取りづらい状況でした。
  • トイレや手洗いなど基本的な設備が整っておらず、衛生面に課題がありました。
  • トラック待機時間が長く、ドライバーとの接点も少なく、作業が滞っていました。

これらの課題を解決し、社員同士・協力業者様との距離を縮めながら快適性と効率を高め、笑顔あふれる職場を創り出すために、リニューアルプロジェクトが始まりました。

コンセプトは「壁を、ブッ壊そう!」

今回のリニューアルのコンセプトは、「壁を壊すことも間づくり」という発想から生まれました。部屋を分けていた物理的な壁だけでなく、会社同士や人同士の心の壁もできるだけ取り除いて、顔を合わせて話しやすい関係を増やすことを目指しました。3社が同じ屋根の下で、移動や電話に追われるのではなく、自然に声を掛け合いながら仕事が進む状態を目指して、空間と動線をデザインしました。

リニューアルの具体的な取り組み

リニューアル後のオフィスは、3社が同じ空間で働き、互いの顔が見える状態で自然に声をかけ合える、明るく開放的で快適な職場環境に生まれ変わりました。

そのほか、具体的には以下のようなリニューアルが実施されました。 

  • 出入口を2か所に設け、必ず運送会社様の前を通る動線にしました。
  • 事務所の半分を土間空間にし、気軽に集まれるコミュニケーションエリアにしました。
  • 前列はツインガラス:遮音・断熱・そして、倉庫作業と事務所をお互いに見える状態にしました。
  • Made By COMANY:設計・デザイン・施工をすべて自社社員で行い、標準部材を活用しました。
  • OAフロアとカーペットで温熱環境を改善し、夏冬の負担を大幅に減らしました。
  • 大型モニターを設置して3社同時に情報共有できる仕組みを導入しました。

これらの施策により、コミュニケーション量が大幅に増え、情報共有が格段にスムーズになり、業務効率と職場の一体感が大きく向上しました。

リニューアル後の変化 

職場の見通しが良くなり、3社が同じチームとして働ける環境が整ったことで、現場でのやり取りが自然に増えて明るい雰囲気が生まれました。そのほか、 

  •  社内と運送会社の会話が増えて情報共有が早くなり、さらに運送会社同士の連絡も活発になったことで、現場の判断もスムーズになった。
  • 三者ミーティングを毎日行うことで課題をすぐ整理でき、言いにくいことも伝えやすくなって改善点が見えやすくなった。
  • 「聞いていない」などの連携ミスが減り、誤配や延着といった物流不具合も大きく減少した。
  • トラックの待機時間も減り、業務がより効率的になった。

といった声が寄せられています。 

オフィスツアー 

今回のリニューアルでは、事務所前面に、大きなガラス越しに明るい事務所が見渡せる開放的な空間が広がります。

基礎工事を行い、床全体を水平に整えることで、落ち着いて作業できる環境に改善しました。入り口は引き戸へ変更し、荷物を持ったままでも開けやすく、出入りがスムーズになっています。

中央のエリアでは倉庫側との視線が行き交い、業務の状況が把握しやすいレイアウトになりました。左側には、靴のまま立ち寄れる土間スペースがあります。短時間の休憩や水分補給に使いやすく、現場と事務所の動きがつながりやすい場所として機能しています。奥のコミュニケーションスペースでは、毎朝3社合同のミーティングが行われています。大型モニターに入庫予定や交通情報が映し出され、全員が同じ情報を共有しながら準備を進めることができます。

今後の課題

今回のリニューアルでは大きな成果がありましたが、使われない家具が出てきたり、布製家具の汚れが目立つなど、改善の余地も見えてきました。また、全面ガラスにしたことで日差しが強く、追加の遮光策を検討する必要性も感じられました。一方で、天井をもっと高くしたり、鉄骨を見せるデザインにするなど、さらに開放感を高めるアイデアも残っています。今後は従業員の増加に合わせた設備改善や、より働きやすい環境づくりに挑戦していく予定です。

まとめ 

今回の物流オフィスのリニューアルは、単なる空間の改装ではなく、人と人、人と仕事、人とシステムの関係性を整える「間づくり」の実践でした。3社が同じ空間で働くことで生まれた自然な会話や助け合いは、職場に一体感をもたらし、物流品質の向上にもつながりました。まだ改善の余地はあるものの、働く人が笑顔になれる環境づくりは着実に進んでいます。今回生まれた「共創(コラボ)の間」を土台に、これからさらに豊かな働く場が育っていく未来を感じるリニューアルでした。

 今後もこうした学びを現場で活かし続け、より良い職場と顧客体験を目指して取り組んでいきます。コマニーは今後も、「間づくり」を通じて、人々がより豊かに生き、輝ける社会の実現に貢献していきます。